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チアはいいなあ
それから竜太は親父に瑠璃花の家の事情を説明し、大会が終わるまで一緒に暮らすことにした 母親を連れて行かれ不安であるだろうに瑠璃花は泣くことも泣く健気に耐える 必ず助けると約束してくれた竜太を信じて・・・ 毎晩同じ布団で手をつないで眠る二人、間には茶化しながらも優しい目で見守ってくれる親父 竜太は大切な人たちの寝息を確かめながら、最後の戦いへのボルテージをあげていくのだった 「わんこ・・・天国で応援していてくれ、俺は今度は絶対に大切な人を守りぬくから・・・!」 「・・・竜太、頑張ってね!」 恥ずかしそうにもじもじしていた瑠璃花が顔を赤らめ出発する竜太にエールをおくる 竜太も彼女の愛情こもったプレゼントのファイルを手に気合をいれて家を飛び出した そしていよいよやってきた地方大会、まずはこれに勝たなければはじまらない!と ガンバーズのみんなは意気込んで会場にやってきたのだが、入ってびっくり・・・ グラウンドには過去二倍もの少年野球チームが集結していたのである! なんで今年はこんなに参加が多いんだとあたりを見回してみるとどこかでみた顔がチラホラ すると後ろから青空・煉獄・桜木のライバル女子トリオがヒラヒラのチアガール姿で現れた 卒業してしまったから試合には出れないけど、後輩の応援に来たという 青空は再結成した新パンジーズのコーチもかねているらしい そうだ、今までいろんなことがきっかけで戦ってきたライバル達だが・・・ 試合をしてみんな野球にすっかり夢中になってしまったようなのだ どの子供達も目がキラキラしていた、本当に楽しそうに笑っていた お互いに挨拶を交わし宣戦布告をしてゆく、竜太もガンバーズのキャプテンとして大きな声で応えた! 「負けないぜ!勝つのは俺達ガンバーズ、さあ!勝負だ!」 コントロールにさらに磨きをかけてきた文殊とナヤンダーズ 「あのー相談ですが、お金あげますんでわざと負けてくれませんか?負けたら煉獄さん怒るんです」 相変わらず怪しいアイテムで呪いをかけようとしてくる恨とシンレーズ 「いきますよ恐田、神龍石の力をみせてやるのです!」 本格的に練習をしオリジナル球種クレッセントムーンを出してきた橘とキャットガールズ 「可愛さも強さも人気もやっぱりあたし達が一番ですよねw桜木センパイw」 試合直前に野球賭博をしかけようとして警察につかまっていた有川とまきぞえくらった新パンジーズ 「ちょwサーセンw試合なんでもうマジ勘弁してくださいw反省してますんでwこりたんでw」 本気でぶつかってくるライバル達をこちらも全力で打ち返してゆく 熱く燃える戦いを制覇したのはやはりどこよりもひときわ光る頑張りを見せていた 我らがガンバーズであった・・・!
「おい、あいつらやったな!」「へへっ、みんないい顔してるっスねセンパイ」 図書館の新聞をみて盛り上がっているのは部活がえりの一堂と羽柴 中学生になった二人はもうだいぶ身長ものびてがっしりしたいい体になってきていた もう試合に出ることはできないがチームを卒業したあとも影ながら仲間の活躍を見守っていたのである はじめは人数不足で試合にもでれなかったあのガンバーズが・・・なんとも感慨深いものがあった せっかくの夏休み、全国大会はOB集まって応援にいこうという話になる 晴川はひとり私立にいってしまったため連絡がとれないんじゃと一堂はいうのだが 羽柴は卒業前に携帯の番号を聞いたといって公衆電話から誘ってみることに 「あ?晴川?部活終わったんならすぐ図書館こいよ、一堂センパイも一緒だぜ はあ?着替え?そんなん制服のままでいいから直行してこい!ダッシュだ!」 ・・・数分後・・・ 「先輩なんか超可愛い子こっちくるんスけど」「君、何か俺達に用?」 「あ、あの・・・私、晴川・・・夏海・・・です」 スカートをふわつかせ現れたセーラー服美少女に少年達は盛大にずっこけるのだった・・・ 一方最大の敵零人も、この日別のブロックで見事に全国大会への出場権を手にしていた その夜は居候している金岡の家でお祝いのご馳走をいただくが 食事をとる時間も惜しむように、彼は食べ終わると庭へでてすぐに素振りをはじめだす 体が温まりだしたかというところで誰かもうひとり庭に入ってきた 暗闇のなかふらふらとおぼつかない足取りでやってくる 石段でつまづいた来客にかけよる零人 「あぶねえな親父!一人で出歩くなよ!」「その声は零人か、はは・・・すまないな」 それは離れて暮らしている息子の様子を見に来た秀人だった 焼けた目をサングラスで隠しているのが痛々しい、肩を借りて杖を拾いゆっくりと立ち上がる ギクシャクと、ちょっと気まずそうに親子は最近の話をしあった おじさんおばさんとうまくやっているか、病気はしてないか 野球の話になると感情的に反抗してくる零人に秀人は苦笑する 「やれやれ、私のアドバイスをちっとも聞こうとしない、お前のためにいってるんだがな」 「僕はもう親父のいいなりにはならないよ、自分のことは自分で決めるんだ 見てろよ、大会だって親父に頼らないでも勝てるってことを証明してやるから あのガンバーズの竜太に勝ってな!」 もう子供じゃないんだなあと秀人は昔の自分の反抗期を思い懐かしんだ、不思議と嫌な気分ではなかった 困ったように笑っていた秀人だったが、帰る時もう一度だけマジメな顔で零人に注意を残していく 「覚えておけ零人、サイバーナックルは本当に危ない球だ、まだ出来上がっていないその 成長途中の肩を壊す可能性がある、お前は親の贔屓目でみなくても世界の認める金の卵だ 将来の夢を潰して欲しくないから言わせてもらう・・・大会での全力投球は三回まで、だ」 遠ざかる車の音、後には静かな虫の音だけが響いていた・・・ 36話終わり
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