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【※迷惑書き込みの対処方法をまとめました。】
第34話「頑張れ!再結成ガンバーズ」   投稿者: waya   2008/10/6 (月) 23:08 

包帯パパと学ラン羽柴君とサイバーカルテットが描きたかったので
また挿絵だけ先に投下
明日午前中空きましたら本文も書きます

残り5話・・・!あとすこし!

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   投稿者: waya   2008/10/9 (木) 15:39 

ゴオゴオと燃え盛る炎を前に竜太はなす術もなく立ち尽くしていた
中にまだ秀人がいる・・・このままでは間違いなく・・・
見かねた親父は自分を中に投げ込めと言い出した
とんでもないと止めるが「お前はさくらの父さんを見殺しにするのか!」
と怒鳴られ一瞬迷ったが覚悟を決め竜太はボール親父を火の中へ放り投げる!

窓ガラスを割り進入した親父は煙の中秀人を探す
火の元のキッチンにはいない、ぴょんぴょんとびはね階段を上がると
零人の部屋で秀人はうつぶせに倒れていた
「しっかりしろ!才葉!」「その声は・・・と、寅蔵か?どうしてここに・・・」
話は後だ、と親父は秀人に窓から飛び降りるように言う
「下は木だ、死にゃあせんから思い切っていけ!
・・・ってコラ!わしをおいてくなーーーーっ!あちちっ!あちーっ!」
秀人は寅蔵のほうを見もせず飛び出していってしまった
やがて通報で消防車が到着、火事は無事消火され
親父も焼け跡から救出されたがクラブハウスは全焼
才葉の実家も半分ほど焼かれてしまったのだった・・・

その夜、救急病院・・・とりあえずの治療が終わった秀人は
薄暗いロビーでみんなと合流する
火傷と擦り傷はたいしたことなかったのだが
油で焼かれた両目を厚く覆う包帯がなんとも痛々しかった
わっと泣きつくさくら、秀人も娘の感触を確かめると強く抱きしめかえす
「さくら・・・無事だったか、そうだ、零人は・・!?」
「・・・僕ならここにいるぜ」気まずそうな顔で前に出てくる零人
秀人は手を伸ばしふらふらと息子を探す
その指が柔らかな髪に触れるとホッとしたように深いため息をついた
「よかった・・・あのこに次いでお前まで失ってしまったらと
本当に怖かったよ・・・よかった、生きていてくれて・・・!」
さくらが「あのこって?」と尋ねる
秀人はかって零人に双子の兄がいたことを話した
まだ赤ん坊の頃大嵐にあい、避難の途中で水色の毛布に
くるんであった兄のほうが川に流されて行方不明になってしまったという
「・・・!?」ここでボール親父は驚き目を見開いた
秀人は子供達を抱きしめながら見えない目で天を仰ぐ
「私は長い間憎しみに囚われていて、いつのまにか大切な子供達まで
モノ扱いするようになっていたようだ・・・こんなことになってようやく
今まで見えなかったものが見えてきたような気がするよ・・・
その・・・なんと言っていいのか、言葉がまとまらないんだが・・・
零人、さくら、竜太君・・・そして・・・寅蔵・・・すまなかった・・・な」
かすれた声で解かれた秀人の心からの謝罪
そこにかってのどす黒い悪霊のようなオーラは完全に消えていた
みんなはそれぞれ顔を見合すと不器用に笑顔を作り
ちいさくなった憐れな男を許したのだった・・・

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   投稿者: waya   2008/10/9 (木) 15:41 

翌日、仲良くグラウンドへ練習にむかう竜太とさくら、二人の表情は明るかった
改心した秀人がかってのサイバーキッズのメンバーに声かけをし
特に優秀な四人をガンバーズに誘ってくれたのである!
これでみんなが戻ってくればまた試合に出れるのだ
ただ零人だけはチームが解散しても別の所へいってしまったのだが
野球は続けるというので大会でまた会えるかもしれないだろうと
竜太は次の対戦を楽しみにすることにした

練習場につくと助っ人四人はすでに準備万全で待っていた
はやく体を動かしたくてうずうずしている、彼らもやはり野球好きなのだ
「へへ!僕は鈴駒」「私は間取だ」「オイラ上部だブ」「・・・高土」
テレながらも嬉しそうに自己紹介するサイバーカルテット
竜太も負けじとひときわ大きな声で挨拶を返した
「ようこそガンバーズへ、俺はキャプテンの不屈竜太だ!みんなよろしく!」

元気よく再結成したガンバーズ、はじめは六人だったが練習を続けるうち
ひとり、またひとりと、かっての仲間達が戻ってきはじめた
やっぱり友達をほっとけない、と最初に帰ってきてくれたのは同じ学校の徳川
続いて家で引きこもっていたが窓からランニングしている仲間をみて
恐る恐るでてきた真薄(鈴駒にからかわれながらも彼は小さく笑い返した)
母親に塾に専念するように言われていたが我慢できずタクシーから飛び出した明智
「なんだよ!いつのまにみんなもどってんのさ!ずりーぞ!」とやっぱり復帰の二ノ宮
残るはあの二人なのだが・・・

小野はあれから毎日無田のところへ通い詰め説得をしていた
同じ学校なので休み時間のたびにありがたい説教をするのだが無田は
かたくなに拒み続けるばかり
しかし小野の方も懲りないで、今日も帰り道ずっと熱心に彼に張り付いていた
しつこい!と怒り出す無田、今日は帰ってアニメの再放送を見るんだと言う
「どうせ試合にでれないなら練習するだけ無駄でやんす!馬鹿でかっこ悪いでやんす!」
「・・・なにがかっこ悪いって?」
突然無田の体が宙に浮いた、いつのまにか間に入ってきた中学生が彼の胸倉を掴んだのである
「俺もな、昔お前や竜太が必死に頑張っているのを見てかっこ悪いなんて馬鹿にしたことがあったよ
でもな!そうやって人を馬鹿にして何もしない奴が一番かっこ悪いって晴川に言われたんだよ!」
無田がビビリながら見上げたその顔は、卒業して学ランをきた先輩羽柴だった
もう卒業してしまったらチームで野球はできない、だけどまだ無田達には可能性が残っているのだ
「やりもしねえで諦めるなんてそれでも男か!」
羽柴はおっかない顔で喝を入れると少年を手荒く突き放す、無田はゴロンと一回転し、わっと泣き出した
「う、うあーん!わかったでやんすぅー!戻ればいいんでやんしょぉー!」
鼻水ぐしゃぐしゃで駆け出す無田、小野もそれを見て嬉しそうに笑うと先輩へお辞儀をし彼の後を追った
羽柴は軽く手を振りながら後輩達の背中にエールを贈る
「頑張れ頑張れ・・・」

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   投稿者: waya   2008/10/9 (木) 15:46 

そしてついに無田と小野もグラウンドで合流、嬉しい相棒の到着に拳骨でお迎えをする竜太
「遅いぞ無田君!一週間もまたせやがって!」「やったでやんすねー!火星パンチお返しでやんす!」
本当は戻りたくてしょうがなかったのだろう、取っ組み合いする無田の顔はいつになく生き生きしていた
これで全員集合・・・というところで竜太の「待った」が入る
出てきてください、の呼びかけで土管の後ろから恥ずかしそうに隠れていた監督が姿を見せた
「あ、忘れてた」二ノ宮の一言で笑い出す一同、まじめにショックを受ける監督をさ竜太が慰める
「冗談ですよ、監督がいなけりゃはじまりませんて・・・おかえりなさい」
「ちぇっ、大人の俺が逆にお前達に教わってばかりとはなあ・・・たいした子供達だぜ、本当に」
今度こそガンバーズは全員集合!新しい仲間達と一緒に目指すは最後の全国大会
ボール親父の掛け声を合図にみんなは円陣を組んで魔法の合言葉を叫ぶのだった・・・

「頑張れ頑張れ、ガンバーズ!頑張れ頑張れ、ガンバーズ!」

しかし、希望に満ちた少年達の願いとはよそに・・・
またひとつ恐ろしい運命が竜太のそばににじりよってきていた
閑静な住宅街に止まった一台の車、そこからでてきた明らかに風貌の怪しい男
「きったならしいアパートやなあ、ここか?南雲さん家は」

34話終わり35話に続く

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