異常気象(仮)〜savaと総の交換日記〜

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【※迷惑書き込みの対処方法をまとめました。】
花非花(2)   投稿者: sava   2012/4/10 (火) 00:44 


敦盛は慣れた様子で門――表門ではなくて横についている通用門の方――を開きながら、のぞみを振り返り中に入るよう促した。
のぞみは恐縮しながら、敦盛が開けてくれた扉をくぐった。

「すみません、会長」

会長、とのぞみに呼ばれた敦盛が苦笑する。

「学校以外でそういう呼び方をされるのはあまり好きではない…今日はヒノエの友人として共に招かれているのだし、名で呼んでもらって構わない」
「え、ええっ。ですが…」

そう言われてもまさかいきなりヒノエのように、敦盛と呼びすてにする訳にもいかない。
敦盛はこの春のぞみが合格して通い始めた高校――青龍学園東高――の、ひとつ上の先輩で、先日行われた生徒会選挙で生徒会長の座についた人物なのだ。
困ったように首を傾げたのぞみに、敦盛はふっと悪戯っぽく笑って言った。

「…では、私も君の事を書記と呼ぶが、構わないだろうか」
「会長…もう、ボクを困らせないで下さい」

ぷうと膨れっ面を作って答えたのぞみに、敦盛は、冗談だ、と愉快そうに笑った。
のぞみも周りに押されて新入生ながらも生徒会選挙に出て、書記の座を射止めたのだ。

「ええと、そうですね……では、敦盛先輩?」
「先輩、も好きではない。一つ二つしか違わないのに、仰々しい風習だと思う」
「そうですか?」

のぞみがふっと微笑んで言った。

「……ボクは、割と好きです」

先輩、と自分も呼ばれていたつい先日までの日々が頭をよぎったのだ。
自分をそう呼ぶ、軽やかな、声。

『先輩』

彼女はまだあの学校で最後の一年を過ごしている。そして自分は新しい学校での一年を。
彼女の声が聞こえない日々は思っていたよりも、淋しくて。
敦盛のみつめる視線に気づいたのぞみは、ぱっと表情を変えて答えた。

「あ、ええと、でも『先輩』が嫌なら…そうですね、じゃあ…敦盛さん、と呼んでもいいでしょうか?」
「そうだな。私も、君をのぞみと呼ばせてもらっても構わないだろうか」
「はい!」

のぞみは先程の思考を振り切るように、ぐるり、と視線を廻らせて手入れの行き届いている広い庭園を見た。

「それにしても広いお庭ですね!これだけ歩いてるのにまだ家につかないなんて凄い」
「ヒノエとは長い付き合いなのだが、ああ見えてヒノエはあまり自分の事を知られるのが好きではない」
「そうなんですか?」
「見ての通り、これだけの家の息子だから・・・そこに色々と付け込もうとする輩も、いるからな」
「ああ、それは…」

二人はその場で立ち止まり、どこまでも続く緑の芝生を眺めた。
のぞみは、ふむ、と顎に手を置いて考え込んだ。

「確かに、これだけお庭が広かったら、サッカーさせろとか野球させろとか言いたくもなりますね」

真面目にそう言ったのぞみに、敦盛は一瞬目が点になった後、ぶふっ!と噴出した。

「敦盛さん?」
「い、いや…今のはそういう意味で言ったのではなかったのだが…」

ごほごほと咳き込みながら、敦盛はそれでも笑いやめずに言った。

「…のぞみは面白いな」
「あの、ボク何か変な事言いましたか?」
「いや…ヒノエが君を気に入るのも分かる。君は、楽しいな。のぞみ、これからもヒノエ共々、私とも仲良くしてくれ。ヒノエも困った所があるが、悪い奴ではないから、よろしく頼む」
「いえ、こちらこそ!」

ぶんぶんと音がするほどに首を振ってのぞみが答えた。
敦盛はのぞみの長い髪がその動きに合わせてさらさらと揺れるのを好ましげに見つめて、また笑った。

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