異常気象(仮)〜savaと総の交換日記〜
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ひとまず絵だけ。 お稚児さんな2人。着せ替え好きは春日家の血なのか?(笑)
動は静に通じ、静は動に通じる。 静止しているかのような見事なまでの所作で相似の二人が次々と激しい攻撃を繰り出してゆく。 攻撃と見えた桜色は瞬時に防御になり、防御と見えた桜色は瞬く間に攻撃となった。 互いに一切の無駄な動きは無い。首の傾げひとつで相手の鋭い拳を紙一重で避け、次の手を繰り出す。 見る者に瞬きも許さない真剣な勝負が、そこにはあった。 それはまるで龍が戯れているかのような華麗な崇高な美しさ。 力というものはそれだけで人を惹き付けるのだと、目の前の二人の姿はそう語っていた。 いつまでも続くかと思われた勝負は、一枚の白い布よって終了した。 動きを止めない二人の間に見事なタイミングで割って入ったその手ぬぐいは ひとりの老人――2人の祖父であり、この道場の主――によって投げられたものだった。 老人は、ぽん、とひとつ手を打つとよく通る声で言った。 「ほい、そこまで」 その声がしたとたん、乱れも見えなかった呼吸は上がり、同時に双龍の舞手は糸が切れたかのようにばたりと床に倒れ伏した。 老人はその様子ににやりとひとつ笑うと、息も出来ぬ様子で模範演技を見入っていた子供達を振り返って言った。 「どうじゃ、面白かったじゃろう?お前達も鍛錬を欠かさず続ければこの位出来るようになるぞ」 子供達は魔法からとけたようにわあっと歓声を上げて大きな拍手をした。 だがしかし残念な事に疲労困憊して床とお友達になっている模範演技の主達の耳には届いていないようだった。 「のぞむ君…も、もーちょっと、手加減、して、よ。あんな攻撃他の人にしたら、死ぬでしょ」 「うるせえ、な。お前がとっとと倒れれば、よかったんだ…」 「倒れる、わけには…」 「負けるわけには…」 「いかないでしょうが」 「いかないだろうが」 重なった声に、老人がくすりと笑う。 老人は道場の子供達に稽古を始めるよう指導してから、孫息子達の側へとやってきた。 「どうやら勝負はつかなかったようじゃの」 そしてはらはらとして見守っている少女達を振り向くと左右の人差し指を立てて自分の頬へ当て、おどけるように笑いながら言った。 「と、いうことじゃから、褒美はワシがもらおうかの?右は譲ちゃん、左は譲子ちゃんで頼むわい」 その言葉を聞いたとたん、どこにまだ体力が残っていたのか桜色の残像が老人に食いかかっていく。 しかし老人は驚く様子もなく鋭い攻撃を、まるで「なんじゃいこの春風は」と言わんばかりにふわりとかわし、一瞬で同時に2人の身体を投げ飛ばした。 「う、わっ!」 「げっ!」 だが投げ飛ばされた方も然る者、軽やかに身を捩りこれ以上床との新密度を上げてはならぬとばかりにふわりと音も無く着地した。 しかしそれが限度だったらしく、見る間に相似の二人は又してもべたりと床に倒れこんだ。 「きゃあっ、先輩っ!」 「先輩!だだ、大丈夫ですかっ!」 今度こそ我慢できないというように少女達がそれぞれの「先輩」に迷う事無く駆け寄って行った。 「大丈夫じゃよ。心配せずとも春日家の男子たるもの、このくらいでどうにかなるものではなかろうて」 だが、それぞれの少女の膝に抱え上げられ袖で風を扇がれる2人は、いつものようにこれを先途と悪さを始める余裕も いつものように真っ赤になって固まる余力も尽きた様子で、ただされるがままになっていた。 その姿に、老人はやれやれと肩をすくめた。 ◇ 文章アップです。つづきます。
「情けないの…とはいえ、まあ、いささか激しい稽古ではあったな。 譲ちゃん、譲子ちゃん、すまんが母屋から水を持ってきてくれんか?」 「はいっ!」 道場主の言葉に、少女達は即座に反応して立ち上がった。 その拍子に、ごつん、ごとん、と一時の安息の地を無くした頭が大層な音を立てたようだったが、必死な彼女達には聴こえなかったようだ。 二人はお稚児姿の動きにくさも物ともせず、ぱたぱたと道場から母屋へと走っていった。 「待っててくださいね、先輩」 「すぐ持ってきます!!」 老人はその後姿をにこにこと見送って、新たに加わった痛みを抱えて情けなく横たわったままの孫息子達へと声をかけた。 「二人とも可愛いのう。あれだけ可愛ければさぞかし引く手あまただろうに、何でお前等がいいのかの」 荒い呼吸を繰り返すだけで答えることも未だ出来ない二人の側に老人はひょいとしゃがみ込んだ。 「お前達はまだまだひよっ子、子供じゃな。才能はあっても迷いが多くて生かしきれとらん。 言うなれば、龍なら伏龍、鳳凰ならば鵬雛かの」 そういうと老人はからかう様に、孫息子達の尻をぺしりと叩いた。 「見てみい、ほれ、お尻に殻がついとるわ。いや、蒙古班かの」 「このクソじじぃ…!」 「も、もう道場へなんか二度と、来ません、から、ね…」 身動きできないながらも必死で悪態をつく2人に老人はにやりと笑った。 ◇ つづきます
「鯉のぼりは登龍門の謂れから来ておること位、お前達だって知っておるじゃろ。鯉はな、瀧を登って龍になるのじゃ」 「…?」 「…」 何を言い出したのか分からない、といった様子でこちらを見上げた二つの顔を見つめ返して彼等の祖父は言った。 「お前達も、もう将来の事を考える時期じゃろう。 道場を継げとはもう言わん。だがな、ひとつだけ言っておく」 重さなど微塵も感じないかのように、祖父は孫息子達をひょいと起き上がらせる。 「お前達がどんな道を行こうとも良い。だが男子なら一生をかけられる仕事を見つけい。 仕事に惚れて女には惚れさせろ。そしてその女を一生守れ」 その時、品のよい老婦人が流れるような物腰で、するりと道場に入ってきた。 後ろにはまるで彼女の付き添いのように、お稚児姿の少女達が盆に乗せられた茶と菓子を持って付いて来ている。 老婦人は自分の夫に、にこりと笑いかけた。夫も彼女に応えるよう微笑みを返した。 「…それが出来て初めて、男じゃ」 祖父は、睨むような緑の瞳と困ったような緑の瞳に、それぞれ同じだけ微笑むとぽん、とそのまだ細い背を叩いた。 「せいぜい、頑張るんじゃよ」 「お祖父さん…」 「…」 「丁度お茶を出そうと思っていたところでしたよ。 ほらほら、皆さん疲れたでしょう。冷たいお茶と柏餅ですよ」 わあっ、と言う歓声と共に子供達が老婦人に群がっていった。 「先輩、お待たせしました」 「はい、どうぞ。お茶です」 望、という文字の名をそれぞれ持つ少年達は手際よく差し出された茶を受け取りながら、心配そうにこちらを見上げてくる少女達を見つめて、そして自分達の祖父母を見た。 老夫婦はにこにこと笑いながら、子供達に囲まれている。 全ての苦楽を共にした、似合いの一対。比翼の鳥、連理の枝のようなその姿。 自分達も、いつか ああいう風になれる日が来るのだろうか 望みを捨てず、望むままに進めたならば 「先輩?大丈夫ですか?」 「無理してませんか?」 いつか、この恋を越えて 「…うん。大丈夫だ」 「大丈夫。頑張るから」 分からない、と言った様子の二人ににこりと微笑んで、少年達は少女達の不安を取り除くべく元気に振舞い始めた。 「わ、この柏餅美味しそう」 「先輩っ駄目ですっ!お茶が先ですよ!甘いものは呼吸が整ってからです」 「でも本当に美味しそうですね。春日のお祖母さまが作ったっていってましたから、帰りに習っていこうかな…」 「お餅より、譲ちゃんのほうが美味しそうだけど?」 口付けがさっと少女の頬に落とされる。 「せ、先輩っ!」 「うん、甘い。ご馳走様」 「のぞむ兄!勝負つかなかったんだからキスはなし!」 「俺がするんだから別にいいだろ」 「…のぞむ君てば又そんな屁理屈こねて」 「黙れ。口惜しきゃお前もすりゃいいだろ」 ぶほっ 「せ、先輩大丈夫ですかっ?のぞむ兄!!何てこと言うんだよ!」 「ごほごほっ…(できるわけないー!!)」 けらけらと賑やかに。 いつもの四人がそこにはいた。 ◇ うそーん、入りきらない。 もういっちょ、つづく!
子供達に茶菓子を配り終えた道場主とその妻は、自分達も座って茶を啜りはじめた。 目の前の二組の若い男女は楽しそうに微笑みながら会話をしている。それに目を細めて、老人は言った。 「似合いじゃの」 老婦人もにこにこと笑いながら答える。 「ええ。本当に」 彼等はかつて自分達もそうであったような若い翼、若い枝。 きっとどこまでも飛び、どこまでも伸びて行けるはずだ。 老人は傍らに寄り添う老婦人に目をやってから、小さく歌を口ずさんだ。 ・・・わが身に似よや男子と 空に躍るや、鯉のぼり… 「はてさて、のう祖母さんや。龍になるのは果たしてどちらが先じゃろうの」 「そうですわね…ふふっ、楽しみですねえ」 「長生きせんとな」 「ええ」 窓に目をやれば五月晴れの名に相応しい青空に、鯉のぼりが悠々とその身を翻して泳いでいた。 ◇ おわりです 春日祖父さんは書いてて楽しいなあ。 鯉のぼりの「コイ」に恋を掛詞など。 イクティさんとセリさんが添い遂げたらこんなかな、とか妄想妄想。 それにしてもこんな時間だよ…もう寝るよ・・・
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