異常気象(仮)〜savaと総の交換日記〜

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【※迷惑書き込みの対処方法をまとめました。】
P.S. I love you   投稿者: sava   2008/3/13 (木) 21:57 

バレンタインシリーズ・譲子ちゃん&のぞみ君。
うっかりホワイトデーになりそうだったので慌てて絵だけUP。ふがふが。
文章のUPは来週月曜日以降の予定です。

譲子ちゃんの制服姿がなんか新鮮・・・
あんまり描いてなかったな。

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pink signal   投稿者: sava   2008/3/23 (日) 01:23 

さくらなでしこももこうばい
うすべにいろの、ぴんくいろ

それは甘い、淡い色


譲子が隣の家のチャイムを鳴らそうと手を伸ばした時、まるでそれが見えていたかのようなタイミングで洋風のドアが内側から開けられた。
中からよろめきながら出てきた人物は今にも崩れ落ちそうな細身の長身をドアに寄りかからせる事で辛うじて立っているような有様だったが
それでも何度か頭を振って意識を取り戻すと顔を上げ死にそうな笑顔で声をかけた。

「お、おはよう、譲子ちゃん・・・」

その必死の様相に譲子は思わずぶっと噴出しそうになる。
このお隣の幼馴染は昔から朝が弱い。それを直そうと本人も一生懸命努力はしているのだが生来の低血圧の為に成果は芳しくなかった。
そして約束したこの時刻は学校へ通っていた時よりも早めなのだから、彼にとっては苦行以外の何物でもない筈だった。
それでも起きる、と宣言してこうして成し遂げた理由は譲子の手から下げられた甘い菓子。
世の中でこれほど待ち焦がれられる幸運な菓子はそうないのではないだろうか。そしてそれを作ることを許された自分もどれほどの幸運の持ち主なのだろうか。
譲子が内側から湧き出してくる幸福感を噛締めていれば、望がふらふらとよろめきながら目の前に近づいて来た。
何とか起き出す事には成功したものの、やはり望にとってこの時刻は辛いらしく、今度は門扉にくたりとうつ伏せに寄りかかってしまった。
譲子は自分の目線よりも下になった桜色の頭をよしよしと撫でながら言った。

「おはようございます、先輩。頑張りましたね」
「…うん…約束、したから…守んなきゃって、思って」

譲子は望の苦しげなくぐもった声を、笑いをかみ殺して聞きながら彼の頭の上にぽこんと紙袋を置いた。

「はい、ご褒美です」

俯いた顔はそのまま、手だけが伸びてそれを受け取った。

「…ありがたく頂きます」

平伏して押し頂くかのような望の姿に譲子が笑いながら言った。

「先輩、大丈夫ですか?しっかりして下さい」
「うう…頭はちゃんとしなきゃって思うんだけど…体が言う事きかなくて…」

今日はバレンタインデー。譲子は望に毎年チョコを渡していた。けれど今年はいつもの年とは違う。
恋人同士になってはじめてのバレンタインデー。だから望は譲子に約束したのだった。
頑張って起きるから、絶対に、必ず朝一番に渡しに来て、と。

◇
つづきます

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pink signal 2   投稿者: sava   2008/3/23 (日) 01:24 

「甘いもの食べれば目が覚めますよ」
「そうかな…」
「そうですよ。甘党の先輩用の特別製ですから、きっと効果覿面です」
「そっか…じゃあ、頂こうかな・・・」
「え、ここでですか…?」

譲子が驚いてそう言いかけた時、俯いていた頭が持ちあげられそのまま距離が近づいた。
触れたのは一瞬、悪戯っぽい緑の瞳と目が合った。

「譲子ちゃんがキスしてくれたら起きる…なんて、ね」

譲子の頬が、さらりと遠ざかってゆく桜色の髪の色の名残のように染められた。

「…!!〜〜〜!!!いつからちゃんと起きてたんですかー!!」

ひょいと頭から紙袋を取って望が笑う。

「うん?今起きた。甘いもの摂ると目が覚めるってホントだね。あ、これも勿論ちゃんと頂くから安心してね」
「先輩って、先輩って…」
「はい?」
「照れ屋なのか積極的なのか全然分からないですっ!」

頬を押さえながら譲子が望を上目使いで睨みつけた。

「あはは、それを言ったら譲子ちゃんだって時々、素直なのか頑固なのか分からないよね。おあいこ?」
「もうっ!私はこれで帰りますけどいいですか、二度寝しちゃ駄目ですよ」

譲子が照れ隠しのようにぷんと膨れて踵を返せば、その背に声が掛けられた。

「譲子ちゃん」
「はい?」

振り返れば、望はほんのりと赤くなって紙袋を持った手を上げていた。

「ええと、…ありがとう」

その顔に譲子は本当に照れ屋なのか積極的なのか分からない、と膨れ面を作るのをやめてにこりと微笑みを返した。

◇
つづきます

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…I love you   投稿者: sava   2008/3/23 (日) 01:48 

家へ戻った譲子は兄の将臣にも毎年の約束どおりに菓子を渡し、今度は学校の鞄を持って自宅のドアを開けた。
駅へと足を向けようとした時、ふわりとした桜色が視界の隅によぎった。

「あ…」

ぴたりと足を止めた譲子に、柔らかな微笑が向けられる。

「おはよう、譲子ちゃん」

そこには望が制服を着て立っていたのだった。

「せ、先輩?どうして…?」

譲子が驚いて望を見上げた。3年生の望も兄の将臣も、もう自由登校期間に入っている。学校に行く必要はないはずだった。

「甘いもの食べたら目が覚めたから」

肩をひょいとすくめながら望が言った。

「・・・お礼に、譲子ちゃんを学校までエスコートしようかなあ、って。迷惑?」

はにかむようにそう聞いた望に、譲子の顔が上気する。何と言ったらいいのか分からず、譲子はただぶんぶんと頭を振る。
こうして同じ高校に通えるのも、もう少しの間だけ。まさか今日こうして一緒に通学できるなんて思ってもいなかったのだ。

望はその仕草に嬉しそうに又微笑み、譲子の隣に並ぶと一緒に歩き出した。

「まだ寒いねー」

白い息を吐き出しながら望が笑った。

「ええ、本当に。先輩寒いの嫌いですもんね」

並んで歩きながら譲子もそう笑えば、望が首を傾げて譲子を見つめた。

「…そうでもないかな」
「?」

望は譲子の手をすいとさりげなく取る。

「寒いとこうやって堂々と手を繋いで歩けるから、嫌いじゃなくなった、かな」
「…!」

譲子の顔がまた一段と上気した。それを見て望が笑った。

「譲子ちゃん、顔赤い」
「寒いから、です。そう言う先輩だって、赤いですよ…」
「…寒いから、ね」

望の頬も譲子の頬も同じくらい赤くて、思わず2人で笑いあう。

「ふふっ…」
「ふふ・・・」

さくらなでしこももこうばい
うすべにいろの、ぴんくいろ

それは甘い、淡い色

言葉にすると消えてしまうそうだから、口は開かないで、この甘い淡い時間を噛締めておく。
本当に大事なことは言わずに、つけたしみたいに。

「寒いの、好き」
「私も。…好きですよ」

ピンク色は、大好きの合図。

照れ屋な貴方と素直になれない私の

pink signal
  ・・・I love you

◇

これにてバレンタインシリーズは終了です。最後は歯に軋むほど甘くしてみました。
色シリーズって言ってたのにタイトルが「P.S. I love you」って何だよ、と思われた方もおいでだったでしょうが、ようやくのタネ明かしができました。
恋人同士になっても照れ屋だと思います、この2人。
キスとかの方が簡単にできちゃうんだ、きっと。

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