異常気象(仮)〜savaと総の交換日記〜
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ひとまず、絵だけ。
※この話はだーいぶ前のログ「light house」の続きです。 「君が好きだよ」 先輩がそう告白してくれたのは先日のこと。 そして…今、私の左手には小さな指輪が輝いている。 ムーンストーンのついた指輪。 私だけの、小さな丸い月。 「譲子ちゃん、お誕生日おめでとう。ええと…約束してた物。受け取ってくれる…?」 私の誕生日に先輩はそう言って小さな包みを差し出した。 照れくさげで、得意げで、なのにほんの少しだけ不安そうにはにかんで。 「ありがとう、ございます。嬉しいっ…!」 先輩は私の顔を見て、ようやくほっとしたように笑った。 きっと今の私の顔、全部気持ちがでちゃてるんだろうなって少しだけ気恥ずかしい。 どうしよう、私、子供の時みたいに笑ってるに違いない。 笑顔って内側から零れおちるんだって初めて知った。 でもいいんだ、しょうがない。私、本当に本当にこの人が大好きなんだから。 私は受け取った包みを開けてみて、はっと目を瞠った。 箱に納められていた指輪は、先輩のバイト先で見かけて私も可愛いなって思っていたものだったから。 これについていた、けして安くはない値段もさりげなく見てたから、私はびっくりして先輩を見上げて―― 照れた瞳に答えを見つけた。 「もしかして、先輩、アルバイトの理由って…これの為…ですか?」 「うん。気に入ってくれた?」 私はもう声もあげられなくて、でも嬉しくて仕方ないから、先輩にそのまま抱きついた。 先輩は一瞬固まった後、おそるおそる私の肩に手をおいて、抱きしめてくれた。 以前の先輩なら、きっと私の頭を優しく撫でるだけだったに違いないのに。 腕の中の私を確かめるように苦しいくらい抱きしめる力に、先輩も本当はずっと前からこうしたかったんだってわかる。 私もずっとこうやって先輩にくっつきたかった。 もう、私達、前とは違うんだ。 うれしくて、しにそう。 そう呟いたら、先輩の胸から苦笑が聞こえてきた。 「嬉しかったら、いっぱい一緒に生きていってくれる?」 体を離して見上げたら、先輩の笑顔が視界に飛び込んできた。 ○ つづきます
先輩は、私の手の中の箱から指輪を取り出すと、光に当てて透かして見て笑った。 「結構小さいなあ。店で見たときには大きく見えたんだけど」 「そんな事ないです。だってこれ…凄く高かったじゃないですか」 「え?譲子ちゃん、これの値段知ってるの?」 「ええと実は……この間お店に行った時にこの指輪、欲しいなって思ったんですけど、値段見て諦めたんです…」 「じゃあ、やっぱりこれは」 先輩は笑うと、私の手を取った。 「譲子ちゃんの物になる運命だったんだね」 永遠の一瞬。 次に何をするのかなんて、私も先輩も、もうわかってる。 なのに手は小さく震える。胸の鼓動は跳ねる。 あらかじめ定められた予定調和。でも流れる音楽は甘やかで、扇情的で、止めることなんてできない。 時が止まればいいなんて、歌にも小説にもあふれかえっている陳腐なお定まりの言葉なのに。 ああ本当に、私が神様だったら、この時間ごと真綿でくるんでしまいたい。 おそらくは、さほどの時間もかからずに、指輪は私の左手の薬指に、するりと吸い込まれた。 弓道をしているから、あまり繊細とはいえない指なのに。 家事で水仕事もするから、邪魔になるからと、指輪なんてあまりしたこともないのに。 先輩がくれた指輪は、私の指が定められた約束の場所であるかのように、違和感なく納まった。 私の手も、華奢な指輪に存在を否定されることなく、ただ受け入れて。 「似合うね」 その先輩の言葉と笑顔の為に。 私と指輪は惹かれあったんだって思えた。 「ありがとう、ございます…」 先輩はもう一度私を抱きしめると、感慨深げに「ようやく、手に入ったなあ」って笑った。 それは私ですか指輪ですか?って聴いたら、 「どっちも」 って、やっぱり笑い声で、そう言った。 私も手をのばして、先輩の体を抱きしめる。 先輩の背に回した自分の手に触れれば、指輪の感触があった。 先輩はこの小さなリングで私をつかまえて、私は腕で囲んだ輪の中に先輩をつかまえて。 その私の輪を先輩の腕が囲む。 輪が、どんどん広がっていく。 月の周りに現れる天文現象みたい。 月暈、白虹、paraselene、幻月環 私も、ようやく 満月をつかまえたの。 ○ 久しぶりの本編連載。 本当はバレンタインにUPしたかったんですが間に合いませんでした(汗) ちょっと遅ればせながらsavaからの甘いプレゼントです。
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