異常気象(仮)〜savaと総の交換日記〜
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ひとまず今日は絵だけ。
うっすらと目を開けて、庭を眺める。 庭には光がきらきら差していて、咲きはじめたお花も、生えはじめたばかりの草もまぶしいくらい輝いていて、天国ってこんなところかな、ってなんとなく、思う。 まさおみ君のおかあさんは、まさおみ君を産んですぐに天国へ行ってしまったんだって母さんが言ってた。 だからそれからずっと、スミレおばあさんがまさおみ君を育てている。 ボクも身体があまり元気じゃないから、おばあさんには心配ばかりかけてる。 家族がふえるってどんな気持ちだろう・・・ 「妹もできるのよ」って言った母さんの言葉が何故かとても耳に残った。 いもうと・・・ ボクにも、いればいいのにな。 ちっちゃくてかわいい女の子が、そばにいてくれたら、ボクもきっともっと元気になれるのに。 そんなことを思ってたからかな。女の子の声が聞こえた気がした。 その声はとても小さかったけど、でもどこかで聴いたことがあるような胸が苦しくなるようなそんな声だった。 「・・・っく、うう、っっく・・・う、ええーんっ・・・」 それが泣いている声だと気づいて、眠りかけていたボクははっと目を覚ました。 あれ、もしかしてこれはほんとうに聴こえている声? がばっ、と布団から起き上がってみる。だいじょうぶ、熱は下がったみたい。 ゆっくり立ち上がって、椅子にかけてあったカーディガンをもぞもぞと着こんで、窓から外に出てみた。 外の風はまだ寒くて、一瞬ふるりと身体が震えたけど、それどころじゃない。 早く、声のところに、行ってあげなきゃ。 悲しそうに泣いている、あの声のところに。 うっかりすると転びそうになるサンダルの足で、それでもいっしょうけんめい走って、生垣のところへ行く。 そこはまさおみ君のお家との境目。ボクとまさおみ君のひみつの抜け穴をくぐってまさおみ君のお家に入る。 まさおみ君のお家はとっても広くて大きいから、だいじょうぶだと思うけど、父さんと母さんにみつからないように、こそこそと庭の植木や庭石の後ろに隠れながら、声のするほうへと行った。 お庭はおばあさんが手入れしているから、とても綺麗。春の花がゆらり、と揺れて、声の主の姿を見せてくれた。 「…っ、え、ええ〜ん・・・」 しゃがみ込んで泣いてる小さな女の子の上に、お庭の木から花びらがいくつも降っている。 ボクはおどかさないように、その木の陰からゆっくりと声をかけた。 「どうして、泣いてるの?」 おんなのこが、はっとして振り向いた。 「…え?」 ボクを見て、おどろいたようにまばたきした拍子に、大きな瞳にいっぱいたまってた涙が、ぽろん、と零れ落ちた。 そのとき、ボクにはわかったんだ。 ・・・みつけた このこはボクの、 「まいごに、なっていたみたい・・・」 女の子の、呟くような声に、震える肩に。 このこはボクの、 とってもとっても、だいじな人なんだって。 にこって笑ったら、女の子も、にこって笑いかえしてくれた。 それだけのことなのに、ボクはなんでこんなに涙が出るくらいうれしいのかな・・・ ◇ つづきます
手をのばしたら、ためらうことなくつながれた。 まるでここで会うことを約束してたみたいに。 「もう、だいじょうぶだよ・・・いっしょに、いこう」 小さな手を、きゅっと握り締めてそう言ったら、女の子は嬉しそうに笑って、こくんってうなずいてくれた。 それからボク達は生垣をまたくぐって、ボクの家に戻っておしゃべりしているうちに、一緒に眠っちゃったみたい。 目を放した隙に連れて来た娘が行方不明になって、大騒ぎで探しまくった挙句、隣の家で風邪をひいて寝込んでいたはずの男の子と一緒に昼寝していたのを見つけた譲子ちゃんのお母さんがどれほど驚いたか、 有川のおじさんやおばあさんがどれほど大笑いしたか、 うちの両親がどれほど謝ったかは、今となっては押して知るべし、ではあるけれど。 当時のボクにとってはその後の数日間、まさおみ君がものすごく不機嫌だったのがとても困ったことだった。 それがボクと譲子ちゃんの、はじめの出会い。 ―ボクの、初恋の話。 (end) ◇ のぞみと譲子ちゃんの出会いの話です。 えーと。補足説明いるかな・・・ 将父と譲子母はお互い最初の結婚をする前から知り合いです。(臣父の奥さんは譲子母の双子の姉妹だし) たぶん親達も今の望たちみたいに皆で仲良くしていたんじゃないかな、と。 このあたりも、いつか書くかもしれないですが。 っていうか、書きたいんですけど書けるかなあ(苦笑)
質問の中にあった場面ですねv 二人とも可愛いわvv すっかり放置プレイですみません。 余力があれば、何かつっきみにきます〜
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体内にも海はあるという 君の波音を聴かせて ◇ 遅ればせながら夏の6人ですー 今年は四季毎に一枚ずつこういう集合絵描こうと思っております。 ひとまず、春と夏はクリアしたな(ギリギリ) 早くこいつらの恋バナ進めたいんですけどね。
あ〜どうしたもんでしょうかねえ。 springのままでいいのか今更summerか迷うとこですね(苦笑) 秋はちゃんと描きたいですけどね・・・ 予定は未定なのでなんとも(汗) と、いうことで、お任せします!総さま。四露死苦!! えーーと、9月18日以降、たぶんこちらの更新するんじゃないかな、と。 更新始めたら、結構続いて何話かUPするんじゃないかなと思います。 あくまで予定は未定ですが・・・(汗) それまで水面下で色々画策いたしますです。 ではではそれまで、しーゆーあげいん! (逃げた!)
入り口の絵を夏に、拍手お礼をのぞみと譲子の質問36〜50に変更しました。 拍手おしてくださった方々ありがとうございました〜 また、トップにのぞむ&譲の質問36〜50をアップしました。
TOP更新&拍手更新ありがとうございました!! ナチュラルシュガーに笑いました。確かに奴らは天然ですな(笑) のぞむ譲は何ですかね。もっと精製度高そうですね。 リズ麗だとリキュールとかですか、弁敦はオハギとか・・・(甘ければいいのか)
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将臣ズ、おめでとー! 1回やらせてみたかった、オールバック。 将臣には似合うと思うんだけどな。
オールバックははげるわよ!(嘘) 誕生日祝い、考えてみたらほとんどやってませんよねー すまない、有川ズ とりあえずホストみたいと思ったのは秘密…にしません(笑)
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去年の黒龍のプロポーズ大作戦からつづく話です。 のぞみ&譲子サイド。 ◇ 朔のバースデイパーティがお開きになった頃、雨はようやく小降りになっていた。 将臣達は軽く店を片付けてから帰る事にする、と言って店に残った。 黒龍は帰る者達に車を呼んでくれようとしたのだが、のぞみと譲子は酔い覚ましに歩きたいから、と辞退したので雨音の中こうして二人並んで歩いている。 夜とはいえ、さほど寒くもなく散歩には丁度いいくらいの気候だった。 譲子は傘の狭い空間に身を縮こませる事もせず、元気に雨を蹴りながら歩いてゆく。 道端にそこだけ場違いに明るい自動販売機の人工的な光が、先程のシャンパンがまだ残っているのかどこか夢見るようなほわんとした表情の譲子を照らしていた。 「朔、幸せそうだったな…本当に良かったですね!」 「譲子ちゃん、ほらそんなにはしゃいで歩いてたら濡れちゃうよ」 譲子は上気した頬のまま、はあい、とのぞみに返事をする。 だが足取りはまだ舞っているかのように軽く、いつ又スキップをはじめないとも知れなかった。 のぞみはそんな譲子の横に並んで歩きながらくすくすと微笑んだ。 「まるで自分の事みたいだね」 「だって、嬉しくないですか?」 ピンク色の可愛らしい傘がひょいと上がり、その中から譲子がのぞみを見上げた。 「そういえば先輩、何だかずっと考え込んでるようでしたけど・・・」 「え?そ、そう?ううん。別にそんな事ないよ」 「そうですか…?」 探るような譲子の視線にのぞみは困ったようにどぎまぎとする。 「まさか・・・あの・・・」 「うん?」 譲子は、もじもじと言いにくそうに躊躇ってから、それでも小さい声でのぞみに聞いた。 「先輩、もしかして朔が結婚するのが、淋しい、とか・・・思ってます、か?」 「へ?」 朔とのぞみは仲がいい。カフェでも、会えばいつも2人でくすくすと何か楽しげに笑って話をしていた。 朔は譲子の目から見ても落ち着いた雰囲気の綺麗な女性で、内心「いつかああなりたいな」と思っている憧れの存在でもあるのだ。 そんな朔がいざ人のものになるとなると、のぞみもやはり淋しいのかもしれない、と譲子は思ったのだった。 だがのぞみは譲子の問いに、きょとん、としてからぱっと破願した。 「まさか!もちろん朔と黒龍さんが結婚するのは嬉しいよ。譲子ちゃんてば、考えすぎ」 「そ、そうです・・・か?でも何だか…」 「そうだなあ、うーん、ちょっと・・・当てられたかなあ。目の前でプロポーズなんて、こっちがドキドキしたからね」 のぞみがそう言って軽く片目を閉じれば、譲子もようやく安心したように、ほっと笑った。 「そうですね」 「ギャラリー呼ぶなんて、ある意味逆にプレッシャーだと思うけど、黒龍さん凄いなあ」 「何だか意外でしたよね。あの黒龍さんが人に頼るタイプには見えなかったんですけど。男らしいのか男らしくないのか…」 「譲子ちゃん、それ言っちゃ駄目。男心は・・・」 「繊細、なんですね。よーく分かりました」 くすくすと譲子が笑いながら言う。 「先輩も、繊細なんですか?」 「う。繊細に見えない?」 そう言ってわざとらしく胸に手を当ててよろめいてみせたのぞみに譲子はくすくすと笑う。 「先輩、ほらそんなにはしゃいで歩いてたら濡れちゃいますよ」 「はあい」 「まるで、自分の事みたいですね!」 ここぞとばかりに先程のぞみに言われた言葉を返すことができた譲子は嬉しそうに笑った。 のぞみは少しだけ困ったような顔をして、笑った。
実はパーティの最中、のぞみの心の中では春日道場で言われた祖父の言葉が絶えずよぎっていたのだった。 ・・・男子なら一生をかけられる仕事を見つけろ。仕事に惚れて女には惚れさせろ。そしてその女を一生守れ・・・それが出来て、初めて男じゃ・・・ のぞみからしてみれば黒龍は余裕のある大人だと思っていた。 若いながらもカフェのオーナーとして店を経営し客入りはいつも上々、物腰も客あしらいも、店にかける情熱も何一つ落ち度がなく完璧といっていい。 実際、そんな大人の男が恋人に結婚を申し込むのに、あれほど躊躇しうろたえるとは思っていなかったのだ。 いつも余裕のある笑顔しか見たことがなかった黒龍でさえ、不安になるのなら。 のぞみはぎゅっと傘の柄を握り締めた。 自分はまだまだ、だ。 逃げてばかりいる今の自分では、何一つ掴めない。 将来の事をちゃんと、考えよう。 身体が弱い事。守りたい大切な人がいる事。全部・・・きちんと。 そうしたら。そうしたら、もしかしたら…いつか。 「あっ、先輩、ほら雨が上がったみたいですよ」 ひょいと傘から手を出して譲子が言った。 にこり、と微笑む、その顔。 ・・・この笑顔とこうしていつまでも歩いて行きたいな。一生・・・ そこまで考えたのぞみの頬に一気に熱が上がった。 ええと、そこまで考えてなかった訳じゃないけど、でもその、まだ早いけど、でもでも、どうにかこの先も生きて行けそうな感じだし、そしたら、やっぱり 「先輩?」 突然黙りこんだのぞみを心配そうに覗き込んだ。 その小さな手に傘先から雫がひとつぽとんと落ちた。 のぞみは譲子の細い指をなぞって落ちゆく露の軌跡を吸寄せられるようにじっと見つめた。 「綺麗だね・・・」 「え?」 「譲子ちゃん、雨も似合うね」 「・・・!!!」 譲子の顔が一気に真っ赤に染まった。 それを見たのぞみも自分の言った言葉に気づいて慌てた。 「あ、ああ、ええと、今のは、あの、」 「・・・〜〜〜!!せせせ、せんぱい〜〜!!」 「ああ、やっぱりシャンパンに当てられたのかな。・・・ごめん、考えてた事が声に出ちゃった」 「そっ、それあの、嬉しいんですけど、すいません・・・フォローになってないですよ先輩」 「あ、あはは〜?ええとその、雨が上がったんだよね。じゃ傘しまお、ね?」 「は、はい・・・」 のぞみと譲子はもぞもぞと決まり悪げに傘を畳んむと、またゆっくりと歩き出した。 傘が邪魔しない分、少しだけ近づいた距離で。 のぞみは自分の頬の熱さも自覚しつつ、ほんのりと赤く染まったままの譲子の顔を見つめて、思った。 ・・・近いうちに景時さんのお店に行ってみようかな。 譲子ちゃんが喜んでくれそうな指輪があるといいんだけど。 さっき譲子ちゃんの手に落ちた、雨雫みたいなのが。 ちゃんと、考えて。 未来に向って歩くから。 一緒に、隣に、ずっとこうして、いて欲しいから。 ◇ 書きながらUPしたので時間食いました。 待ってたらごめんなさい。総さま、皆さま。 rain drops = 雨の飴(笑) このへん過去ログ「spring day」のおまけから繋がってます。ええとホワイトデーののぞみから譲子ちゃんへのお返しは、キャンディの指輪だったんですよ。 ちなみにこの二人は相合傘はしませんね。 付き合いだしてもそれは変わらなさそう。互いのスペースはそのままでただ並んで歩く。きっと幼馴染ってそんな感じじゃなかろうかと。
きっちり待たせていただきましたわv ちゃくちゃくとラブッてますねv 過去ログも楽しみにしてまーす。
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ほんとは昨日描きたかった絵。 6月12日は恋人の日だそうで、どっかの国ではお互いにフォトフレーム交換するそうですよ。 それにしても、のぞむは譲ちゃんの写真を一体何枚所有しているのだろう。 蔵に満載なんじゃ・・・ うう、気がつけばこんな時間。 寝るべきか、起きておくべきか…
ようやく拍手入れ替えできましたよ!これにて、西町ペア、50の質問終了! 過去拍手もトップにアップしました。 あれ、キャラクター紹介の方にリンクしたほうがいいでしょうか? ちょっと迷い中です。 過去ログもどうにかしないとねぇ… のぞむの写真…というか、ほとんど譲の成長記録。 デジタルとフィルムカメラ、ビデオを合わせたら、とんでもない量でしょうねぇ。 春日家には専用の部屋があると思いますよ。母が時々出入りして、イメージモデルにしていたり(笑) SS書きたいなぁ。 先日電車で譲子ちゃんのようなセーラー服の少女を見かけました。 小柄でふわふわ髪で(三つ網ではありませんでしたが)実写だとこんな感じかなぁと。 そして気付いたのが、どうやら譲子ちゃんが不足しているようだということです。 譲欠乏とかなら分かるのに、譲子ちゃん…人様のキャラが欠乏症ってどうよ、とセルフ突っ込み。
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ひとまず絵だけ。 お稚児さんな2人。着せ替え好きは春日家の血なのか?(笑)
「情けないの…とはいえ、まあ、いささか激しい稽古ではあったな。 譲ちゃん、譲子ちゃん、すまんが母屋から水を持ってきてくれんか?」 「はいっ!」 道場主の言葉に、少女達は即座に反応して立ち上がった。 その拍子に、ごつん、ごとん、と一時の安息の地を無くした頭が大層な音を立てたようだったが、必死な彼女達には聴こえなかったようだ。 二人はお稚児姿の動きにくさも物ともせず、ぱたぱたと道場から母屋へと走っていった。 「待っててくださいね、先輩」 「すぐ持ってきます!!」 老人はその後姿をにこにこと見送って、新たに加わった痛みを抱えて情けなく横たわったままの孫息子達へと声をかけた。 「二人とも可愛いのう。あれだけ可愛ければさぞかし引く手あまただろうに、何でお前等がいいのかの」 荒い呼吸を繰り返すだけで答えることも未だ出来ない二人の側に老人はひょいとしゃがみ込んだ。 「お前達はまだまだひよっ子、子供じゃな。才能はあっても迷いが多くて生かしきれとらん。 言うなれば、龍なら伏龍、鳳凰ならば鵬雛かの」 そういうと老人はからかう様に、孫息子達の尻をぺしりと叩いた。 「見てみい、ほれ、お尻に殻がついとるわ。いや、蒙古班かの」 「このクソじじぃ…!」 「も、もう道場へなんか二度と、来ません、から、ね…」 身動きできないながらも必死で悪態をつく2人に老人はにやりと笑った。 ◇ つづきます
「鯉のぼりは登龍門の謂れから来ておること位、お前達だって知っておるじゃろ。鯉はな、瀧を登って龍になるのじゃ」 「…?」 「…」 何を言い出したのか分からない、といった様子でこちらを見上げた二つの顔を見つめ返して彼等の祖父は言った。 「お前達も、もう将来の事を考える時期じゃろう。 道場を継げとはもう言わん。だがな、ひとつだけ言っておく」 重さなど微塵も感じないかのように、祖父は孫息子達をひょいと起き上がらせる。 「お前達がどんな道を行こうとも良い。だが男子なら一生をかけられる仕事を見つけい。 仕事に惚れて女には惚れさせろ。そしてその女を一生守れ」 その時、品のよい老婦人が流れるような物腰で、するりと道場に入ってきた。 後ろにはまるで彼女の付き添いのように、お稚児姿の少女達が盆に乗せられた茶と菓子を持って付いて来ている。 老婦人は自分の夫に、にこりと笑いかけた。夫も彼女に応えるよう微笑みを返した。 「…それが出来て初めて、男じゃ」 祖父は、睨むような緑の瞳と困ったような緑の瞳に、それぞれ同じだけ微笑むとぽん、とそのまだ細い背を叩いた。 「せいぜい、頑張るんじゃよ」 「お祖父さん…」 「…」 「丁度お茶を出そうと思っていたところでしたよ。 ほらほら、皆さん疲れたでしょう。冷たいお茶と柏餅ですよ」 わあっ、と言う歓声と共に子供達が老婦人に群がっていった。 「先輩、お待たせしました」 「はい、どうぞ。お茶です」 望、という文字の名をそれぞれ持つ少年達は手際よく差し出された茶を受け取りながら、心配そうにこちらを見上げてくる少女達を見つめて、そして自分達の祖父母を見た。 老夫婦はにこにこと笑いながら、子供達に囲まれている。 全ての苦楽を共にした、似合いの一対。比翼の鳥、連理の枝のようなその姿。 自分達も、いつか ああいう風になれる日が来るのだろうか 望みを捨てず、望むままに進めたならば 「先輩?大丈夫ですか?」 「無理してませんか?」 いつか、この恋を越えて 「…うん。大丈夫だ」 「大丈夫。頑張るから」 分からない、と言った様子の二人ににこりと微笑んで、少年達は少女達の不安を取り除くべく元気に振舞い始めた。 「わ、この柏餅美味しそう」 「先輩っ駄目ですっ!お茶が先ですよ!甘いものは呼吸が整ってからです」 「でも本当に美味しそうですね。春日のお祖母さまが作ったっていってましたから、帰りに習っていこうかな…」 「お餅より、譲ちゃんのほうが美味しそうだけど?」 口付けがさっと少女の頬に落とされる。 「せ、先輩っ!」 「うん、甘い。ご馳走様」 「のぞむ兄!勝負つかなかったんだからキスはなし!」 「俺がするんだから別にいいだろ」 「…のぞむ君てば又そんな屁理屈こねて」 「黙れ。口惜しきゃお前もすりゃいいだろ」 ぶほっ 「せ、先輩大丈夫ですかっ?のぞむ兄!!何てこと言うんだよ!」 「ごほごほっ…(できるわけないー!!)」 けらけらと賑やかに。 いつもの四人がそこにはいた。 ◇ うそーん、入りきらない。 もういっちょ、つづく!
子供達に茶菓子を配り終えた道場主とその妻は、自分達も座って茶を啜りはじめた。 目の前の二組の若い男女は楽しそうに微笑みながら会話をしている。それに目を細めて、老人は言った。 「似合いじゃの」 老婦人もにこにこと笑いながら答える。 「ええ。本当に」 彼等はかつて自分達もそうであったような若い翼、若い枝。 きっとどこまでも飛び、どこまでも伸びて行けるはずだ。 老人は傍らに寄り添う老婦人に目をやってから、小さく歌を口ずさんだ。 ・・・わが身に似よや男子と 空に躍るや、鯉のぼり… 「はてさて、のう祖母さんや。龍になるのは果たしてどちらが先じゃろうの」 「そうですわね…ふふっ、楽しみですねえ」 「長生きせんとな」 「ええ」 窓に目をやれば五月晴れの名に相応しい青空に、鯉のぼりが悠々とその身を翻して泳いでいた。 ◇ おわりです 春日祖父さんは書いてて楽しいなあ。 鯉のぼりの「コイ」に恋を掛詞など。 イクティさんとセリさんが添い遂げたらこんなかな、とか妄想妄想。 それにしてもこんな時間だよ…もう寝るよ・・・
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「…これはどういう事ですか、お爺さん!」 「こんな事だろうと思った」 子供の日ということで、春日道場に鯉のぼりを飾る手伝いに借り出されたはずが、何故か子供たちの前で模範演技をする羽目になってしまった2人。 や、ただ単に、稽古着姿の2人が描きたかっただけです(笑)
「先輩格好いい…」 「え?譲子ちゃん?何、その格好!!」 「おじいさまに、道場にくるならって着せられたんですけど。」 変ですか? こてりと首を傾げる姿は可愛らしいのだが。 着ている衣装が衣装なので、愕然とする。 着ている着物は太刀持ち姿…というかお小姓姿…というか、もっといえばお稚児さん… 「お祖父さん!!」 「可愛いセコンドがつけばお前達も真面目にやるかとおもうてな。」 「セコンドって、なんですか!」 怒るのぞみのよこで、のぞむが何も言葉を出さない譲を、心配そうに見つめる。 「譲ちゃん?どうしたんだい?」 「……………」 「譲ちゃん?」 「譲?」 のぞむに話しかけられてもぼーっと見ている譲に、のぞみと譲子も不思議そうに顔を見た。 じっと自分をみている譲を見て、のぞむがくすりと笑い、耳元でゆっくりと囁いた。 「ゆずる?」 「っ、せ、先輩!」 「あ、やっと気がついた。」 にこりと微笑まれ、譲が首まで赤くなる。 「どうしたんだい?ぼーっとして。具合が悪いわけではなさそうだけど。」 「いえ、その…………髪を上げたところって、初めてみたから…」 綺麗、と譲が呟いた。 「いつぞや上げてたよね。」 「まぁ、あの時は衣装も違いましたからね。」 文化祭での挨拶をいっているのだろう。 のぞみと譲子がボソリと呟くが、譲には聞こえていない。 赤い顔でのぞむに見惚れていた。 それを見つめ返すのぞむ。 「こりゃ、のぞむ!逃げるな!」 譲を抱えて連れ去ろうとしていたのぞむが、すかさずおじいさんに殴られる。 「さっさと手合わせせい。そのあとなら、好きにして良いぞ。」 「話せるな。じゃ、いくぜ、のぞみ!」 「ちょっとのぞむくん!」 慌ててよけるのぞみを見て、おじいさんがボソリと一言。 「ああ、勝った方には両セコンドから接吻を進呈だぞ。」 「お祖父さん!?」 驚く譲子に、あの二人にならかまわんだろう?と面白そうに言う。 「のぞみくんなら、兄弟みたいなものだから…構わないかな。」 譲子に申し訳ないけど、でも譲子もするならそれもいいなと譲が心の中で呟き、 「ん〜、まぁ、のぞむ兄さんなら…問題ないけど。」 譲なら気にしないだろうし、のぞむへの嫌がらせにもなりそうだと、譲子がひそかに思う。 二人がポツリと呟いた途端、目の前のバトルが険悪化した。 「うわ、先輩凄い!」 「はやっ、おじいさん、模範演技って言ってるけど、見えないんじゃ…」 「ほっほっ。独占欲が深いのは春日の血かのぉ。」 その日、春日道場ではいつまでたっても打ち合う音が消えなかったという。 ======== 決着ついたのかなぁ。 こうしてみると、二人ともそっくりですな。のぞみくんも凛々しいね♪ 終わって床にへたばってる二人に、お祖父さんが笑顔で「やはり、まだまだ子供だの。」とかからかわれてればいい。 最近sava様の絵を見るとなんだか泣きたくなる(切ないといいなさい)ものが多かったので、くすりと笑ってしまうのは嬉しいですv 下のも何か書こうとあがいて書けなかった… sava様宅の将譲も楽しかったですv 私の脳内で、あのあと本格的にセクハラに持ち込まれてました(笑) 胸囲を大きくされたりね☆
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彼女は「ラ」の音、440Hzで俺を呼ぶ。 彼女は、はじまりの「A」の音で僕を呼ぶ。 この世は音に満ちている。だがその聴こえてくる音全てが耳に心地よいわけではない。 街の雑踏、木々のざわめき、鳥の声、…そして、人の声。 「ねえねえ、あの人格好良くない?」 「ほら…あれが例の」 「ああ!もしかして…よね」 煩い、煩い、煩い。 噂話なら聴こえないところでやってくれ。 「きゃー綺麗、ほんと男の人とは思えなくない?」 「あの髪の毛、触りたい〜」 君達が褒める『僕の外見』は自分で選んだものではない。 耳に、頭に、これ以上の雑音を垂れ流さないで。 思わず固く目を瞑る。世界をシャットアウトする為に。 それでも塞ぎきれず、ノイズに飲み込まれそうになった時、ノイズの向こうから声が、した。 それは透き通った「ラ」の音。 「先輩?」 彼女は「ラ」の音、440Hzで俺を呼ぶ。 彼女は、はじまりの「A」の音で僕を呼ぶ。 ラの音はA。440Hz。1秒間に440回の振動音。 それは楽器を調律する基準音。 そしてこの世に生まれてきた赤子が最初にあげる産声の音。 心地よい声、心地よい音。 ゆっくりと目を開けば、彼女の後ろに世界が広がっていた。 彼女の声で 俺は 僕は 世界と調和する。 君が笑ってくれるなら。 声を出して、世界の音に参加する。 「いいや…なんでもないよ」 「うん。大丈夫」 君が俺の 君が僕の チューニングキー ◇ はは、昔取った杵柄。音楽で書いてみたり。 ノイズになるか、音楽になるかはチューニング次第。 ゆずゆずは望ズにとって音叉のような存在なのかな、と思って。 あ〜補足説明しますと、「ラ」は「A」(「ド」は「C」です)と表記しまして、オーケストラのチューニングの音なんです。 吹奏楽なんかだとB♭(ベー)でチューニングしますけどね。 キスの意味の「A」とチューニングの「チュー」もかけようかと思ったけど、やめた。 タイムマシン使用後だと、のぞみにそんな大それた事できやしなかったというか…(笑)
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のぞむくん。 春はさぞかしノイズ多そうですねえ… 「キャーかっこいい!」 「ほら、あの先輩が例の『KASUGA』の…!」 「えっ、うっそー、すごおい!!」 新入生が大騒ぎしそう。
のぞむと譲のいろいろは書きたいですが、書かないと通じない部分もあるでしょうが。 いつか、ねv 騒いでいる新入生に、上級生がのぞむの機嫌を損ねないよう、指導してたりして(笑) のぞみくんの走り回る時計。 あれは走り回るスペースがなければ使えないと思ってしまったり。(つまり我が家では不可能(笑) のぞみくん、徐々に自立の道?
この道は春に 花降る道となる パラダイスとは 変化する もの これは天野 慶さんという歌人さんの短歌。大好きなんです。 同じ道を、3人で歩くか、2人で歩くか。 年度を挟んだ前後の話の微妙なズレが時間の経過っぽくて、自分的には上手くいったなあと悦にいってたりします。はは、自画自賛。 ちなみに譲子ちゃんがあげたという時計のイメージはコレ↓ ttp://ark.b-smile.jp/consumer/index.html?/consumer/goods/00030.html ころころ走る感じが譲子ちゃんみたいだなあ、と思って。 いくら寝ぼけ太郎ののぞみでも、これじゃ壊せないでしょう(笑)
なんか、めちゃくちゃ可愛かったです、時計。 思わずおさげをつけたくなるくらい。 物陰から探されるのをこっそりみている緑の時計。寝ぼけた男がのぞみくん? でも、譲子ちゃんなら、探されるまえにでて行っちゃいそう。 それとも、たまには追いかけさせるのも良いかな? ベッドの陰でくすくす笑ってる感じですねv 悪戯しながら起こす譲子ちゃんと、寝ぼけながらきょろきょろしているのぞみくん。脳内で甘々いちゃいちゃし始めましたよ、二人。
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花はいつか散る はらはらと音もなく 僕はいつからか散ることだけをずっと考えていた 花の盛りに散ることをだけ 春の朝は誘惑に満ちている。暖かすぎず寒すぎず、差し込む朝日の光さえも柔らかくて瞳を開ける手助けにはならない。僕は毎朝ささやかな抵抗をするけれど、この誘惑には勝てたためしがない。 せめてもう一度だけ布団の柔らかい感触を確かめてから起きようと寝返りを打てば、その僕の行動をたしなめるように、コツン、と固い感触が手に当たった。 昨日までは無かったこの感触を何だったか思い出せないまま、また夢の国へと堕ちかけようとしていた僕に、その固い物体はきちんと職務を果すべく自己主張を開始した。 ピピピピッピ!! 「う、うわっ!」 その聞き慣れない大音量に思わず飛び起きてしまった僕は、ころころと布団の上を走り回っている音源である憎たらしい物体を思わず手刀で引っ叩こうとして――寸前でどうにか手を止めることに成功し、丁寧に捕まえて頭の上に嫌がらせのように小さくついているスイッチを押した。 ピピピピ!!!……ピタッ 「危ない危ない・・・壊したら大変・・・」 この働き者には車輪がついていて、スイッチを止めない限り逃げ回る仕掛けになっている。 布団の上で捕まえられたのはラッキーだったのかもしれないな・・・ そんなことを思いながら、まだぼんやりとする視界で部屋を見渡せば、壁にかけてある制服と机の上に置いてあるカレンダーとが目に入って来た。 ――先輩も、これなら起きられるかと思って―― そう笑いながら彼女がこれを渡してくれたのは、昨日のこと。 ことん、と真新しい目覚まし時計を枕元に置いて、うーん、とひとつ大きく伸びをすれば身体の隅々までぴかぴかの光が差し込むような、そんな気がした。 ◇ つづきます
「あらすごい!眠り王子が自分から起きてきたわ」 「奇跡ですねえ」 リビングに起き出して行けば、両親からそんな声をかけられた。 「…第一声が、それ?」 がくりと大袈裟に肩を落してみせる僕に、彼等はくすくすと笑う。何事もなくいつものように。 「なーに言ってんのよ。年中『春眠暁を覚えず』の人が」 「うーん…朝が来たことくらいは分かってるんだけど」 溜息を吐きながらダイニングの椅子に座れば、すっと湯気のたったミルクが差し出された。 「分かってて起きないなら尚悪いっつの」 母さんはそう言いながら僕の頭をこつんと叩く。 「そうそう、君は毎朝『海棠の眠り未だ足らず』といった風情ですからねえ」 ばさり、と新聞の陰からからかう様に父さんが言う。 「…それって美人の寝起きの形容じゃなかった?」 「おや、古文は苦手かと思っていましたが、勉強が進んでいるようですね。いい事です」 よしよし、と今度は父さんに頭を撫でられる。 目の前に次々と並べられてゆく皿を見て僕は目を丸くする。 「あはは、何このご馳走。朝から贅沢すぎじゃない?」 「いいのよ、なんだか今朝は早く目が覚めちゃったんだもの」 「君はもっと栄養つけたほうがいいです。ほら残さず食べなさい」 「過保護だなあ」 「今日だけよ」 「そうそう。君の早起きのご褒美という事にでもしておきなさい」 「そうよ、早く食べちゃいなさい」 鼻を赤くした母さんがそれでも笑いながら言う。 「今日はまた一段といい天気ですねえ…」 誤魔化すように父さんが窓に目をやる。 誰も何も言わない。 本当に言いたい事は、もうお互いに分かっているから、泣きそうになるのは朝の眩しい光の所為。そういうことにしてしまおう。 僕が生まれてきた日も、きっとこんな天気だったに違いない。 覚えてなんかいないけど、何故かそんな事を思った。 『この子は18まで生きられないかも知れない・・・』 生まれつき身体の弱かった僕の、最後の呪縛。 昨日は僕の18回目の誕生日、だった。 ◇ つづきます
多すぎる朝食をゆっくりと食べて身支度を整えて玄関を出れば、眩しい光の中、誰よりも大切な2人がそこにいた。 「あっ、先輩、おはようございます。今チャイム鳴らそうかと思ってた所ですよ」 「めっずらしいな。どうした、お前がちゃんと出てくるなんて」 「譲子ちゃんがくれた時計のおかげで今朝は自分で起きれたんだよ」 そう笑って答えれば、譲子ちゃんの顔がぱあっと明るくなった。 「ほんとですか!?良かった!凄いですよ先輩、頑張りましたね!!」 将臣くんはからかうように笑いながら言う。 「おいおい、マジかよ。明日は雨だな」 「ああ、もう!将臣くん達までそういう反応なの? うちの親なんか奇跡だって大喜びして朝からご馳走攻めだよ。お腹一杯で苦しいや」 いつもの朝、いつもの彼等、いつもの通学路。 僕はまだここに自分がいるのがまだ実感できていなくて、彼等の少し後ろからゆっくりとついてゆく。 道の上は桜の花びらで薄紅色に染められている。 見上げれば、時を過ぎた桜の並木から絶え間なく花びらが零れ落ちている。 「今年は花が咲くのが早かったから、もう葉桜ですね」 譲子ちゃんが桜を見上げながら残念そうに言う。 「でも俺こっちの方が結構好きなんだけどな」 「兄さんの感覚って変だよな」 「そうか?だってこれって桜餅の葉っぱなんだろ?花見ても腹膨れねえし」 「ふふ、将臣くんらしいなあ。そう…葉桜、か」 花はいつか散る はらはらと音もなく 僕はいつからか 散ることだけを、ずっと考えていた 花の盛りに散ることをだけ 花は散る 散って―― 葉を、茂らせる 「うん…僕も好きになりそうかな」 舞い散る花びらの中でお下げの髪を揺らして譲子ちゃんが振り返る。 ひときわ鮮やかな新緑の色を映したかのような緑の瞳が僕を見上げる。 「ええー、先輩までそんな事を言わないで下さいよ」 「ほら見ろー!こいつも食い気のタイプだぜ」 そう言って笑った将臣くんの顔は一点の曇りも無い光る青空のようで。 「もうっ…はいはい、分かりました。桜餅又作ります。それでいいですね」 「おっ、俺はあのつぶつぶのな。もち米で包んであるような」 「道明寺?」 「名前までは知らねえけど」 「桜餅って関東と関西で違うんだよ…先輩はどっちが好きですか?」 「やっぱ、お前もつぶつぶだよな?」 2人が立ち止まって、こちらを見つめる。 花降る朝の光に包まれて、僕を待っている。 僕はその隣に並ぶ為に、足を踏み出す。 「どっちも、好き」 夢見た春を過ぎて 青空と新緑の季節へと 新しい、第一歩を ◇ おわりです のぞみの一人称って久しぶりに書いたかも。
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